【寄稿】上海山寨探訪記 ~「山寨」こと、パチモノを求めて~ その4(最終回)



【前回までのあらすじ】
ついに始まった「麟閣ツアー」。
上海オタク街や電化製品などを扱う市場をまわり、
次々とパチモノや怪しげな玩具を手にする参加者たち。
そんな彼らの前に突如、巨大なカバンが登場。
その中からは、予期せぬ大量のパチモノゲームがお目見えするのであった…。

よろず怪奇物事探究サークル・或隠舎 目目連(@mokumokuren

※前回の記事: その1  その2  その3


■ドキッ!男ばかりの修羅場展開

「息をするのもはばかられる緊張感」という表現がある。
目の前の光景を眺めながら、まさに「今のような状態がそれなんだ」と
ぼんやりと考えた。

上海のおしゃれな貸しスペースに集まった「麟閣ツアー」参加者たち。
本来ならば、コーヒーなどを飲みながらアナログゲームなどを楽しむ場所のようだ。

しかし、今、ここは違う。

控えめに言っても、パチモノを求める人間たちの鉄火場と化している!
何事をも見逃すまいという、彼らの視線は隠しきれない。
これは獲物を狙う目だ。そう、1人1人がハンターなのだ。


ここでツアー参加者が興じているのは、パチモノの山分け即売会。

現在も中国にパチモノが存在するかどうかを危惧した麟閣さん。
万が一パチモノが発見できなかった時のためにと、独自のルートを通じ
あらかじめ一定数のパチモノを確保してくれていたのだ。

参加者の安心のために集められた膨大なパチモノ。宝的物体の山。
それを、ツアー参加者たちが奪い合うように買っていくという
デスマッチ的なアレである!

多士済済、とはこういうものだろうか。
出てきたソフトの多様さは言うまでもない。


強豪たちとの争奪戦の末、パチモノゲームを何本か確保できた。
ここでは、入手できたゲームについて少しだけ紹介したい。


スーパーマリオの『サニーサイドワールド』は、
名作スーパーマリオワールドを元にしながらも、アレンジの利いたステージが多数だ。


普通に遊べる内容にほっとひと安心させられるものの、
バッテリーが無く、セーブ機能はあってもセーブ不可能という謎仕様。
これはさすがパチモノといったところか。


驚いたのが、in1ソフトに入っていた謎のキャプテン翼。
あのFCのキャプテン翼が、アラビア語表記になっているものが収録されていた。

世界中のサッカーキッズたちに、キャプテン翼が与えた影響は大きいと聞く。
その背景には、少なからずこのようなパチモノの存在もあったのではないだろうか。
いささか牽強付会かもしれないが、アラビア語のパチモノまで作られるほどの
需要があったというのは重要な事実だろう。


アラビア語は、右から左へと文字が流れるという。
このパチモノでは、文字が右から左へと表記されるものと、


左から右へと流れる2種類が収録されていた。

パチモノのくせに、妙に心遣いがあるのが面白い。
アラビア語表記の左右で別々のソフト扱いとなり、in1の水増しにもなっているぞ!

さすが清く正しいパチモノ。
「くっ!ガッツがたりない!」
どころか、ガッツだらけの代物である。

そして、どうしても中国で入手しておきたかったソフトも、
この争奪戦を乗り越えて手に入れることができた。


それは『香港97』。

もはや、説明無用とも言えるアナーキーゲームである。
これが、中国でパチモノのロムカセットとして生産されているという事実!
これだけで、パチモノという存在の無茶苦茶さ、懐の深さ、その他もろもろ知った事か!
という精神がうかがえようというものである。


この『香港97』。レトロフリークで起動すると、こちらの写真のようになる。
所々が伏せ字のようになってしまっているが、ある意味こういった表現方法のほうが
「それらしく」感じられてしまうのがスゴイ。


何となく、このゲームだけはパチモノにはなるまいと思っていた。
ゲームの元ネタが中国的にはたまらんものだろうと、勝手に想像していたのだ。

しかし、あっさりとパチカセットとして存在している、
というところにパチモノの凄みを感じないだろうか。
パチモノゲームという存在が何たるかというものを考えるうえで、
意義のある物的証拠になりそうだと考えている。

パチモノ即売会そのものは、じつに平和裏に終了しました。
とても充実したパチモノ購入ができて、とても満足しています。
パチモノを巡っての果たし合いとかはなかったですよ!
本当ですよ!
ほんとうに。
じゃんけんはしました。


■飛行機内ゲームのまとめとか誰かやっているのだろうか?

日本への帰路、行きと同じく中国東方航空の機内。
席が埋まってしまっていたので、仕方なくビジネスクラスに座った。


見ると、座席の前には液晶画面が。
機内での注意点などの放送以外にも、座席横についているコントローラーを用いて
飛行機内だけで遊べるゲームができるようだ。

空路では、入手できたパチモノゲームで遊ぼうと考えていた。
しかしこれは、ここでしかできないゲームたち。遊ばねばなるまいて!
ということで、いそいそとイン・フライト・ゲームにいそしむことにした。

入っていたゲームは10種類。


飛行機内でやる以上、この名称のほかない!というような『空中麻雀』は、
中国流のルールかと思ったが、日本の麻雀と全く同じに見えた。


リーチ一発のみという素晴らしい手であがることができたぜ!


あとは、スロットなどが楽しめるカジノゲームや
やたらとプレイアブルキャラが多いポーカー。


何故かミッキーマウスが駐車場の整理をするゲームなど、盛りだくさん。


イチ押しはなんといっても、『インフライトパックマン』!
東シナ海のはるか上空でパックマン!これだけで興奮する。


内容は、オーソドックスなパックマン。
画面の周囲には独特の装丁が施され、少し豪華な見た目のパックマンという趣きだった。


10のゲームのトリを飾っていたのは、謎の塗り絵。
十字キーと2種類のボタンを駆使して、子供部屋などを濡りたくれ!
何故かおかわりで3本ももらえた、サービスの青島ビールに酔っ払いながら
一心不乱に空中塗り絵をするという経験は、またとないものだった。


■ありがとう。パチモノ。そして旅の思い出よ。

しれっと税関を通過し、帰路の電車。
浮かぶのは、これまで一緒にいた人たちだった。
色々とお世話をしてくださった中国の方。
小綺麗なのに怪しいDVD店で、
ハートキャッチプリキュアについて語り合ったのもとても楽しかった。
強者ばかりで、頼もしい限りだったツアー参加者たち。
濃い会話は、あのメンバーだからこその楽しみだったのだろう。

そして麟閣さん。
筆者にとっての初海外。これほど楽しいものになろうとは。感謝してもしきれない。


ここで書いてきたパチモノは、現在、自室で山となっている。
この胡散臭いゲームの集合体を見るたび、このツアーを思い出している。
料理にチンゲンサイを使うことも増えたのは言うまでもない。



(終)

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